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 どーもみなさんはじめまして。俺の名前はくんでぇっす。先月でちょうど17歳になりましたイェーイ! よろしくねイェーイ! 東京某所にある秀徳高校に通ってるぴっちぴちの一年生でーす。あ、ごめんごめんちょっとボウショって言葉使ってみたかっただけそれからぴっちぴちっつってももう夏休みも終わっちまったから全然ぴっちぴちじゃないよな。ぴっち、ぐらいだよなーうんうんわかるわかる。だってさー学校楽しすぎて毎日が早いのなんの! 光陰矢のごとしって言うのはマジこのことだよな! クラスメートもイイ奴ばっかりだし、部活だって面白いメンツそろってんだよなー。まあ俺の部活ってそんなに積極的に活動してねーんだけど。いやね、一応ハンドボール部だけど人数超少ねーし? まあそのおかげで、あんまり身体がっしりしてない俺でもスタメン入れてるから助かるっちゃー助かるんだけど。でも秀徳高校の運動部の中でも一、二位を争うほどの弱小っていうのは、ちょっと、うーん、嬉しくねーよなぁ。まあ事実だから仕方ねーんだけど。でもいいんだ俺ハンド好きだから! ぜんっぜん問題ねーよ! 来年は先輩になる、わけ、だし? がんばって勧誘すりゃあ問題ねーって。ただなー、うちの高校、なんかバスケ部がすげー強いらしくて? バスケ部のために入学してくるやつらとかけっこーいるんだわ。ああ、思い出しただけでもびっくりだわー。なんせクラスの男子の三分の一がバスケ部入部希望だったもんな。まあ今でもバスケ部続けてるやつはもっと減ったけど。なんか噂によるとすっげー練習とか厳しいみたいだし。人数多いからスタメンになるのとかマジきついらしいし。大変だよなー。……ん、あれ? いつの間にかバスケ部の話になってたけど、俺いま自己紹介してたんだよな。どうしてこうなった? あちゃーやっぱ混乱してるんだわ。だってまさか急に放課後教室に呼び出されたとおもったら、まさか、まさか告白されるだなんて思わないだろ? え、これ夢じゃねーのって思うだろ? だから、さ、一応確認したかったわけなんだわ俺という存在がどんなもんだったかってな! 俺の名前は、東京某所にある秀徳高校のぴっち一年生。ハンド部。うんよし。ここまではいい。ここは放課後の教室で、俺は呼び出されてここにいる、うん、よし。で、なんで目の前にはクラスメートの高尾がいるんだ?


、聞いてる?」
「え、あ、ん? ちょっとまって、俺、いま、ちょーっと、混乱してて、」
「ごめん、でもオレ、本気だ。本気で、、お前のこと、」


 お前のこと、好きだ。
 ちょ、っとまて、な、落ち着け。落ち着け高尾。いや落ち着け俺。うん、好き、な。うん、オッケー大丈夫だって俺もお前好きだぜ? 高尾はクラスでも中心人物的な存在だし、ノリがいいからみんなの人気者だし、俺もクラスの中ではお調子者的な立ち位置だからよくつるむし絡むし、うん、休み時間とか外でバスケしたりサッカーしたり一緒にメシ食ったりまあかなり一緒にはいるもんな。それなりに勉強できるし、なによりバスケ部でレギュラーっていうところが友人として俺も鼻が高いぜ。実はめちゃくちゃ努力してるもんな、お前。おちゃらけてる癖に努力家とか、ほんとおんなのこたちのハートを鷲掴みだよなぁ。気もきくし、なにかとハイスペックだし、まじイイ奴だと思うけど、俺もお前のこと好きだけど、えっと、どうしてだ? なんか、そんな簡単に「俺も好きだぜ」って言っちゃいけないような、空気なのは、なんでだ?


「えー、っと、高尾、」
「なに」
「その、お前の言ってる好きっていうのは、あー、友愛とか、そういう類の」
「ちげーよ」


 俯きがちだった高尾の瞳が、鋭く俺を突き刺した。ばちり、と音がしそうなくらい勢いよくあった視線は、またすぐさま伏せられる。び、っくりした、高尾のあんな瞳なんて、一度だけ見に行った試合の時か、ゴリ先生の数学遅刻しそうになって猛烈ダッシュしてるときにしか見たこと、ねーんだけど。そうそう、この間隣のクラスの女子が、いつもは笑顔の高尾くんが試合だと凛々しくて本当にかっこいいんだよあーもうすてき! 高尾くんホントにすきだよう……いつ告白したらいいかなぁリカちゃん……。みたいなこと言ってたぜ? 本当はすぐさま高尾に教えてやろうかと思ったけど、まーそういうさ、ことはさ、本人が伝えなきゃ意味ねーじゃんって思ってさ、伝えなかったわけ。……ごめん嘘。いや、嘘じゃねーけど。嘘じゃねーけど半分は嘘だ。だってお前モテすぎだってほんと俺しってんだからなこの間2年の先輩に告白されてただろ俺知ってるんだからな。あの先輩たしか今年の文化祭でミス秀徳に輝いてた人だろなんでお前ホントそんなモテんのうらやましーんだけど。俺だったら即オッケーだすのにお前バッサリと断っちゃうし。「先輩、すんません、俺、好きな人、いるんで」…………って、え、もしかして、その好きな人って、俺?


「え、っと、じゃあ、高尾の、それ、は、恋愛感情とかの、」
「おう」
「え、じゃあキスしたいとか、そういう……?」


 って、何言ってんの俺ばかじゃねーのなんだよキスしたいとかねーよ! 野郎とキスしたいとかそんなこと「したい」……お、う。まじでか。いや、別にな、俺だって、キスくらいしたことあるけど。キスしかしたことねーけど。え、でも、まあ、男同士で、ふざけて、キスしようぜーみたいなことに、なったら、いや、なったことねーけど、まあ、なって、みんなもしてるぜお前もしろよはっはーみたいなテンションになったら全然できるけど、でも、えーっと、高尾のキスとかは、そういうことでは、「キスしたい。できればセックスもしたい」ああああああごめんセックスはホントに好きな子じゃないと無理だわごめん。え、ってことは、やっぱり、高尾は、えーっと俺の、ことが、恋愛的な意味で、好き……? え、こいつ、もしかして、ゲ、


「言っとくけどゲイじゃねーからな」
「っお、う、」
「オレが好きなのも、キスしたいって思うのも、セックスしたいって思うのも、だけ」
「えー、あ、ありがと?」


 え、これ、ありがとって言っていいんだよな? 俺のことを好きになってくれてありがとう的な? いや、別に俺貞操観念とかあんまりつよくねーし。俺オトコだけど。ゲイとかレズとかもまあそんなに気にしたことねーし、ケイベツとかもしねーけど、えっと、それと、俺がどうするかって、いうことは、別問題で、え、あれ、ちょっとまって俺どうしたらいいんだこれ? いやどうしたも、こうしたも、俺は高尾を、そーゆー、目で、見たことねーから、どうしたも、こうしたもねーんだけど、


「……わり、急にこんなこと言っても、びっくりするだけだよな」
「あ、いや、」
「でも伝えたかった。我慢できなかったんだ、ごめん」


 悲しそうに高尾がそういうから、俺もなんだか悲しくなってきた。いや、俺が悲しくなったってどうしようもねーんだけど。顔をあげた高尾が、泣きそうな顔で、でも必死に笑うから、俺の心臓がずきんと痛んだ。いや、ほんと、どうしようもねーんだけど。「あー、できれば、これからも、仲良くしてくれると、嬉しい」「いやするだろ。あたりまえだろ」ぎこちなくそう返せば、また高尾は笑った。じゃあかえるわ、という言葉を吐いて、鞄をもってそのまま教室の外へと出ていく。取り残された俺は、もやもやとした気持ちを抱えたまま小さく息を吐いた。え、てか、今の何だったんだ。いや、なんだったって、告白だったんだけど。て、か、告白、人生で二回目の告白が、男? いやいいんだけど、つか、高尾って俺のこと好きだったのか、しら、知らなかった……。いつからだ? 結構前からつるんでたけど、えーっと、もともと男に興味ねーみたいな言い方だったから、最初からそういうわけじゃ、ない、だろうし。つか、え、俺どうしたらいいの? 告白、されたんだよな? あ、でも、別に返事とか求められてねーし、付き合ってって言われたわけでもねー、から、いつもどおりで、いいんだ、よな? だって、高尾だって、これからも仲良くしたいって、言ってたし。俺になにか求めてるわけでも、いや、まあ、キスとせ、っくすの、話は、置いておいて、うん、なにか、求めてるわけでも、なかった、し? うん、なにもかわんねーよな、今までと。うん、大丈夫、なんとかなんだろ、なんとか。…………たぶん。






何とかなるさと楽観的に

下西ただす(121025)


始めてしまった高尾くん連載……w
高尾くんを苦しめたくて苦しめたくてはじめました\(^O^)/